6/15緊急声明・記者会見

避難用住宅の無償提供を2017年3月で打ち切る方針を福島県が固めたとの報道を受け、当団体から緊急声明を発表し、代表・鴨下らが記者会見を開催しました。


原発事故の避難指示区域外からの避難者に対する避難用住宅の無償提供の打ち切り方針の撤回を求める声明

 

福島県知事   内堀雅雄 殿

内閣総理大臣 安倍晋三 殿

 

2015(平成27)年6月15日

 

ひなん生活をまもる会 代表 鴨 下 祐 也

 

 ひなん生活をまもる会は、東日本大震災・福島原発事故によって首都圏などに避難している避難者団体(会員世帯数:100世帯余り)である。本日、以下のとおり、声明を発表する。

 

 福島県避難地域復興局は、本日午後、県庁内で記者会見し、福島原発事故で政府による避難指示区域以外の地域から避難している避難者について、災害救助法に基づく応急仮設住宅の無償提供を2017年3月末で打ち切ると発表した模様である。福島県の発表は、区域外避難者を含めた原発事故避難者の多くが望んでいる「長期・無償」の避難用住宅提供の要望に真っ向から反するものであり、決して認めることはできない。わたしたちは、すでに本年5月20日付け緊急声明で述べたのと同様に、避難指示区域以外からの避難者に対する災害救助法に基づく応急仮設住宅の提供の打ち切りに対し、断固抗議・反対し、ただちに撤回するよう求めます。同時に、わたしたちは、全国の避難者の皆さんと連帯・協力して、この方針が撤回されるまで、徹底的に闘います。

 この打ち切り方針は、内閣府との事前協議の上に練られたものであり、国の帰還政策を反映したものです。ですから、わたしたちは、内堀雅雄知事のみならず、安倍晋三内閣総理大臣をはじめとする内閣府に対しても、強く抗議し、この方針の撤回を求めます。

 福島県は、「対策」として、一定期間の家賃の一部負担、公営住宅の優先確保を掲げているとされますが、これは要するに避難用住宅の「有償化」を図ろうとするものです。有償化は、ただでさえ経済的に苦しい生活状態にある避難者を更に困窮させるものであって、認められません。しかも、現在の避難先の住宅が引き続き避難先として確保されるという保障も何もないのです。公営住宅の優先入居についても、従来の国土交通省の政策の延長にすぎません。避難を断念して帰還する場合の引っ越し費用の補助に至っては、有償化とあいまって、生活の苦しい避難者に対し帰還を事実上強制するものというほかありません。福島県の掲げる上記の「対策」は、「長期・無償」の避難用住宅の確保を求める全国の避難者の多数の声を無視するものであって、到底受け入れることはできません。

 報道では「福島県への帰還や自立を促すためにも打ち切る必要があると判断した模様だ」(毎日新聞)とありますが、避難者の多数は当面の間帰還を望んでいません。2013年及び2014年に早稲田大学と震災支援ネットワーク埼玉(SSN)が東京・埼玉の避難者を対象に行った調査によれば、避難者の実に4割以上が、福島原発事故に由来する放射性物質の汚染(追加被ばく線量)がゼロになり元どおりになるまで避難を続けたいと望んでいます。これは、福島原発事故がいまだ収束していない以上、当然の要望です。わたしたち避難者の意思に反して帰還を事実上強制することは、強制立ち退きを原則として禁じている社会権規約(国際人権A規約)11条や国際人道法、避難者の意思に沿った政策形成を趣旨とする原発事故子ども・被災者支援法2条2項、同法14条などに反するものであって、わたしたち避難者の人権は全くないがしろにされているというほかありません。

 福島県のいう「自立」とは、原発事故の悪影響を少しでも和らげようと避難している避難者に対し、「避難は自己責任だ」と言うに等しいものです。しかし、原発事故避難者には、何の落ち度もありません。また、今月12日に政府の関係閣僚会議で改定された「福島第一原子力発電所の廃炉措置等に向けた中長期ロードマップ」では、復興の前提となる事故の収束に向けた作業(溶融した炉心の回収等)がどんどん先送りにされています。このような中、避難者が「自己責任」を押し付けられるいわれはありません。責任を取るべきは、福島原発を運転・推進してきた行政(国・県)であり、事故を起こした東京電力のはずです。避難指示区域以外からの避難者にとって事実上の唯一・最低限の支援策となっている応急仮設住宅の提供を打ち切るということは、行政が原発事故を起こした責任を放棄・否認するに等しく、わたしたちは許すことができません。

 わたしたちは、今年5月、全国3団体の呼びかけによって、避難用住宅の長期・無償の提供を求める4万4978筆の署名を内閣府と福島県に提出しました。今月9日にわたしたちが主催して開いた「打ち切り反対」の緊急院内集会には、予想を超える170人以上の参加者が詰めかけ、多くの国会議員から激励を受けました。本日午前、院内集会で決議文を内閣府に届けたばかりです(福島県には9日のうちに届けました。)。わたしたちは、放射能汚染と未だ収束していない事故から免れるため、お母さんも子どもも、みんな必死の思いで避難しています。福島県や内閣府が、わたしたちの叫びを無視し、わたしたち避難者を敵に回すのであれば、わたしたちも必死の覚悟です。

 福島県とその背後にいる内閣府は、ただちに、わたしたち避難者の多数の意向を無視した帰還強制政策を放棄し、応急仮設住宅の提供の打ち切りを撤回するよう求めます。

                                   以上

ひなん生活をまもる会 

代表:鴨下祐也   
〒115-0045 

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マザーシップ司法書士法人内

(担当:後閑・桑原)
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